赤門アカデミーの数学のカリキュラムでは、まず最初に青チャートやフォーカスゴールドといった網羅系の参考書を仕上げてもらいます。
東大志望の生徒さんには、これをできれば高2の夏までに終わらせてもらっています。
しかし、この網羅系参考書が終わったらいきなり過去問演習にいくわけではありません。
網羅系参考書が終われば、「一対一対応数学」、「やさしい理系数学」などの実践系問題集の演習に入っていきます。
このページでは、赤門アカデミーでの数学の実践系問題集の使い方や指導方法について解説していきます。
そもそも実践系問題集とは?
まず、実践系問題集について解説していきます。
先ほども少し解説しましたが、実践系問題集とは、
です。
具体的には、「一対一対応数学」や「やさしい理系数学」の他に以下のようなものがあります。
- 新数学スタンダード演習
- ハイレベル理系数学
- 良問のプラチカ
- スタンダード数学演習
- オリジナルスタンダード数学演習
- メヂアン
- クリアー
などがあります。
このうちスタンダード数学演習、オリジナルスタンダード数学演習、メヂアン、クリアーなどは学校で使う数研出版の教材で、解答解説も詳しくないため、生徒の要望がない限りはその他の参考書を使います。
また、「一対一対応」の次のレベルのものが「新数学スタンダード演習」で「やさしい理系数学」の次のレベルのものが「ハイレベル理系数学」です。
そして、良問のプラチカシリーズは文系の教材はある程度難易度のある問題がありおすすめなのですが、理系のプラチカは少し簡単すぎるのであまりおすすめしません。
特に要望がなければ、「一対一対応数学」から入試まで時間があれば、「新数学スタンダード演習」に取り組んで、過去問に入るというのが一般的な我々の塾でのカリキュラムの流れになります。
実践系問題集に手を出して良いレベル
次にどのくらいのレベルで実践系の問題集に手を出して良いのかについて解説していきます。
実践系問題集に手を出して良いのは、青チャート、フォーカスゴールドなどの網羅系参考書を仕上げた人、または、この問題集の例題が8割以上解ける実力がある人です。
網羅系参考書は一番有名な問題集が青チャートといわれるものです。
その次に有名なのが、フォーカスゴールドというものです。
他にも以下のような参考書があります。
- 黄チャート
- 赤チャート
- ニューアクションレジェンド
- フォーカスゼータ
網羅系参考書はもちろん文系であれば数2B、理系であれば数3まで終わらせていないといけません。
これをせずに実践系の問題集に手を出しても、全く問題が解けません。
この問題集には、教科書レベルの問題はもちろん載っていません。
青チャートでいう重要例題やフォーカスゴールドでいう星3~4の問題と同程度の問題とそれよりもワンランク上の入試問題が集められた問題集です。
なので、網羅系の参考書で定着させたことの復習と同時に、それより上の入試問題に対してどの程度立ち向かえるかを試す問題集です。
つまり、網羅系の参考書を仕上げずに、実践系の問題集に手を出してもあまり意味がありません。
実践系の問題集は網羅系の参考書でストックした例題の解放などを初めて見る問題でいかに活かせるか試す問題集という要素も強いので、必ず網羅系の参考書をしっかり仕上げてから取り組んでもらっています。
入試まで、時間がなく、教科書レベルの問題や青チャートの基礎例題レベルの問題はほとんど解けるという人に限って、網羅系の参考書を飛ばして、実践系の問題集に入るようにしていますが、それ以外の生徒さんには必ず一度網羅系の参考書を仕上げてもらってから、実践系の問題集に取り組んでもらっています。
なお、この網羅系参考書の進め方については、以下のページで解説されています。
実践系問題集の使い方
次に赤門アカデミーでの実践系問題集の使い方について解説していきます。
問題集の形式などによって多少使い方が違いますので、赤門アカデミーで一番使われている「一対一対応」、「新数学スタンダード演習」を例に解説していきます。
進めていくペースについて
進めていくペースについては、他の教科の仕上がり具合などによって人それぞれですが、だいたい、一週間に一対一対応の場合、2章ずつ進めてもらうようにやっています。
このペースで行けば、文系だと一対一対応の数学が全4冊だいたい2〜3ヶ月ほどで終了します。
理系の場合だと6冊あるので、3〜4ヶ月ほどで終了します。
文系の場合、だいたい高校2年生の9〜10月ごろに網羅系の参考書が終了するので、そこから年末、年明けには終わるイメージです。
理系の場合ですと、数3まであるので、網羅系の参考書が高校2年生の3月くらいに終了します。
なので高3の4月からはじめて6、7月に終わるイメージです。
この一対一対応数学が終了すると、次に新数学スタンダード演習に入っていきます。
新数学スタンダード演習も2章ずつ進めていきます。
そうすると、文系だと、1ヶ月半、理系だと3ヶ月程度で終了するイメージです。
新数学スタンダード演習では、一対一対応以上のより難易度の高い問題の演習をしていきます。
また、理系の場合だと、夏以降は東大模試などもあるので、過去問演習と同時並行で進めていく形になります。
理系の生徒さんはやはり数学の勉強量が多いですが、文系だと、高校2年生の間にほとんど数学が仕上がってしまうカリキュラムになっています。
また、本試験まで時間のない生徒さんは、一対一対応が終了したら、新数学スタンダード演習を飛ばして、過去問演習に入っていきます。
勉強方法について
一対一対応数学では、まず課題として、2章分の例題とその前の2章分の演習問題をやってきてもらいます。
そこで、課題テストでは、例題をやってきた2章分の範囲から初見で演習問題を解いてもらいます。
新数学スタンダード演習の場合は、演習問題しか載っていないので、2章分の範囲から初見で課題テストを出して、課題としては、その問題の復習と、それ以外の出題していない問題の演習をしてきてもらいます。
問題一つ一つの取り組み方は、網羅系参考書とは基本的に変わりませんが、1点だけ違うところがあります。
それは、問題がわからなかったとしても15分は必ず自力で考えることです。
実践系問題集の目的は、網羅系参考書でストックした問題をどれだけ初見の入試レベルの問題に活用できるか訓練することです。
なので、網羅系参考書のようにわからなければ答えをすぐ見るというわけではなく、15分は必ず考える訓練をしてほしいのです。
それでもわからなかった問題に関しては、網羅系参考書での演習と同じく、解答をみて理解したあと、すぐに解答が再現できるか確認していく作業を必ず行うことが重要です。
実践系問題集の確認テスト
実践系問題集の確認テストでは、基本的に初見の問題を1から解いてもらいます。
なので、全ての問題ができなければいけないというわけではありません。
限られた時間の中で自分にとって一番解きやすい問題を探し出して、解くというのも、入試では必要なので、その能力を養ってもらいます。
具体的には、先ほども述べたように、一対一対応数学であれば、例題をやってきた範囲の2章分から演習問題を出題します。
新数学スタンダード演習の場合は、復習してきた次の2章分の中から出題します。
なお、実践系の問題集の演習を行うレベルの生徒さんであれば、一度やった問題を確認テストで確認するというのは、あまりにもレベルが低すぎます。
演習問題の復習や、例題がしっかり定着しているかどうかのテストは基本的に行わないので、生徒さん自身が自分で責任を持ってしっかり復習していくことが重要です。
もちろん、記述答案としてしっかり不備がないかの確認もしていきます 。
このレベルの演習を行う生徒さんは、もう入試まで時間が短い受験生であることが多いので、記述にはより敏感になってほしいです。
数学の記述答案の指導方法については以下のページを合わせてご覧ください。
実践系問題集種類別解説
最後にそれぞれの実践系問題集について解説していきます。
一対一対応数学
一対一対応数学は、1、A 、2、B、 3(微積分編)、 3(曲線・複素数編)の計6冊からなっています。
先ほども紹介下通り、網羅系参考書のように例題があって、その例題1つ1つに対して、演習問題がついている問題集になっています。
問題の数は、
- 1:例題 53題、演習 50題
- A:例題 54題、演習54題
- 2:例題 83題、演習 83題
- B:例題 59題、演習 59題(どちらも18題はⅠAⅡB融合問題)
- 3(微分積分編):例題75題、演習75題
- 3(曲線・複素数編):例題36題、演習36題(どちらも6題が融合問題)
という構成になっています。
新数学スタンダード演習
こちらは、一対一対応数学の正式な続編で、我々の塾でも一対一対応数学が終わった受験生には余裕があれば取り組んでもらっています。
こちらは4月号(数1A2B)と5月号(数3)の2冊から構成されています。
問題数は
- 4月号:303題
- 5月号:135題
です。
問題の難易度としては、一対一対応数学よりもさらに難易度の高い実践系の入試問題が中心になります。
一対一対応数学が完璧に仕上がっている、つまり解けない問題が一つもない状態の人が取り組むのによいでしょう。
また、問題数も400題以上あり、たくさん問題が解きたくて、受験本番までに1ヶ月以上もある人におすすめです。
やさしい理系数学、ハイレベル理系数学
この二つは同じ系統の問題集で、基本的にやさしい理系数学 ー> ハイレベル理系数学へと進むのが王道です。
それぞれの問題集は以下のようになっています。
- やさしい理系数学:例題50題、演習問題130題、計180題
- ハイレベル理系数学:例題50題、演習問題150題、計200題
この問題集の特徴としては、一対一対応や新数学スタンダード演習と比べても分かる通り、問題数が少ない代わりに、解答解説が豊富で、たくさん別解も載っています。
また、掲載されている問題は、厳選された良問ですが、やさしい問題があまりないというのが特徴です。
とくにやさしい理系数学は名前がゆえに誤解されやすいですが決してやさしくはありません!
また、ハイレベル理系数学においても難関大用のかなり難しい問題ばかりが掲載されています。
入試まで時間がないがある程度実力はあり、さらに上を目指す受験生におすすめです。
また、理系数学と書いてある通り、数3の内容もあわさった問題集となっているので基本的に文系にはおすすめはしていません。
良問のプラチカ
良問のプラチカは、文系数学1A2B、理系数学1A2Bと理系数学3の3冊があります。
それぞれ問題数は、
- 文系数学1A2B:149題
- 理系数学1A2B:153題
- 理系数学3:76題
あります。
ここで、プラチカについて気をつけなければならないことは、1A2Bに関しては、文系数学の方が理系数学よりも問題のレベルが高いということです。
なので、文系については、プラチカはかなりおすすめですが、理系にはあまりおすすめしていません。
実際文系の生徒は何人か我々の指導で使っていた例はありますが、理系の生徒で使っていた例はいまのところありません。
もし理系で使う場合でも、文系数学1A2B ー> 理系数学3の順番が良いと思われます。
また、一対一対応や新数学スタンダード演習などと比べても分かる通り、問題数が少ないです。
その代わり解説がかなり豊富に書かれている問題集となっています。
スタンダード、オリジナルスタンダード、メヂアン、クリアーなど
これらも先ほど紹介した、問題集と同様実践系の数学の問題集に分類されます。
しかし、これらは学校採用専用書籍で、店頭での販売はもちろん、解答解説も入手しにくいです。
基本的に学校が授業で使う用の問題集なので、自分で勉強するには色々不便なところがあります。
解答解説もかなりわかりにくく、学校によっては解答解説を全く配らないところもあります。
なので、我々の指導でこれを使うことは基本的にあまりおすすめしていません。
しかし、どうしても時間がなくこの問題集しか取り組めなかったり半分以上すすめてしまっていて、完璧にしたいという場合はそれでかなり効果的です。
このような特別な場合に限ってスタンダードやメヂアンのような学校採用専用書籍を活用した指導も行っています。
まとめ
以上が赤門アカデミーでの実践系の問題集の指導方法や使い方について解説していきました。
基本的に実践系の問題集は網羅系参考書が完成してから、取り組んでいく入試問題の演習のための問題集です。
ほとんどの塾生は一対一対応数学から新数学スタンダード演習へと進んでいきます。
この問題集に取り組んでもらうことによって最終的に東大をはじめとした難関大学の過去問演習ができる力をみにつけてもらうのです。